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わたしには持ち帰るものが多すぎる 慎重に慎重を重ね、万全を期しても、これだけたくさんの荷物があれば、なにかひとつは忘れてしまうものです。2004年、春の帰省の高速バスの中で書きだした冗談半分のエッセイです。
帰省の二大悩み富山に帰省するたびに、わたしは次のふたつのことに悩まされる。
時間が逼迫してくるのは、なにも帰省するときに限ったことではない。帰省から戻ってくるときも、誰かと待ち合わせするときも、ゆとりを持って出発できたためしがない。とくに待ち合わせの場合は、その相手に迷惑をかけてしまうことになるので、時間には十分なゆとりが必要なのだ。 だからわたしは、待ち合わせの時は、事前に「10分遅れます」と連絡を入れることにしている。本来は5分遅れそうなときでも、ゆとりをもって10分と言うことにしているのだ。にもかかわらず、結局10分ギリギリになってしまうのが不思議でならない。 いっぽう、帰省で時間がギリギリになるのは、準備が大変だからである。一般の人は、帰省といっても、衣類と、せいぜい移動中に読む本の一、二冊もあればすむのではあるまいか。それに対して、わたしには持ち帰るべきものが多すぎる。忘れがちな自己への訓戒の意味も込めて、ここに今回の荷物リストを確認しておきたい。 ノートパソコンこれがわたしの荷物の中核と言ってもいい。いまでこそ本を読むことも多くなったが、学生の時は電車で3駅以上あれば、必ずノートパソコンを開いていたほど、移動中の必須アイテムだった。いわんや、帰省や旅行ともなればパソコン無しに24時間以上過ごせる自信がない。 また、これにはACアダプタも含まれることに注意しなければならない。通信用のPCカードも忘れてはいけない。LAN接続用のコネクタも忘れてはならない。いずれも忘れた経験のあるものばかりだ。 さらに、デスクトップパソコンのほうからデータを移動させておくことも忘れてはならない。これは外見からは判断が付かないため、「あ、忘れてた、あぶないあぶない」と気づくことが非常に困難である。主なデータは、メール、お気に入り、幸之介の@、富校の杜や、それに付随した各種ファイルなどである。 USBメモリこの中には、わたしの最も大切なデータである「幸之介メモ」ファイルが eMemoPad 形式で入っている。幸之介の@のコラムや企画のネタ、富校の杜の企画や資料など、かけがえのないデータが2004年3月現在で30万文字以上あるのだ。病気や事故でわたしが死んだらまずこれを世の中に公開してもらいたいものだ。 それだけ大切なだけに、例え見た目は小さくとも、忘れるようなことはまずない。 と、油断するとすぐ忘れるのがわたしだ。 デジタルカメラ今回の帰省から、これが一気に重たくなった。デジタル一眼レフカメラE-1を買ったためだ。大きさ的に目立つだけあって、これを丸ごと忘れることはないが、気をつけたいのは付属品である。まず、充電器と充電池。帰省が短期間であれば充電器は必要ないほど電池はよく持つが、その場合には、充電中の電池を忘れたまま、重いだけでまったく役に立たない電源無しカメラを持ち運ぶことにならないよう、十分気をつけたい。この失敗は過去に中型のデジカメで経験があるのだ。 小型カメラのEXILIMも必須。ただし、よほどの長期滞在でない限り、充電器兼パソコン接続機能を持つクレイドルは不要だ。 中型機のLUMIXは、一眼レフを持って行くほどではないときには必要だが、今回は見送った。ただし、いつもはEXILIMで撮った写真は、LUMIXにSDメモリカードを挿し替えてパソコンに転送していたが、LUMIXを持っていかない場合は、EXILIM用のクレイドルが必須になる。今回はこれを忘れた。 ケータイPHSは携帯電話に比べてはるかに電池が長持ちするため、一週間程度の帰省では充電器不要である。しかし、今月からわたしの親が転勤のためにそろって東京に引っ越しており、家にはブロードバンド環境がない。常時接続環境もない。あまつさえ、電話回線すら通じていない。通信手段はこのPHSに頼るしかないのだ。 さすがのPHSも、長時間の通信をしていては、電池は一週間も持たない。その事実に気づいて今回、PHSの充電器を荷物に含めることができたのは、わたしとしては奇跡的といってもよい。 ノイズキャンセリングヘッドフォンこれは見た目はふつうのヘッドフォンなのだが、周囲の雑音をカットしてくれるという画期的な機能を持つ。高速バスの中ではうるさいエンジン音や走行音が、重低音部を中心に半分くらい低減される感覚だ。パソコンや読書に集中しやすくなるほか、集中に疲れたら、眠りに集中することもできる。 やや大柄なため、荷物にすることに疑問を感じたこともあるが、忘れたときは忘れたときで、集中できていないんじゃないかと気になってしまう。また、4万円もしたのに使わないのは癪に障るので、こよなく愛用していることにしなければならないという事情もある。 コンタクトレンズ先月から、イザというときだけ着用している使い捨てコンタクトレンズ。いまのところこれを忘れたことは一度もない。今回がコンタクト購入後、初めての帰省だからだ。ただし、コンタクトをつける時間すらなく待ち合わせに遅れたことはある。 衣類他の重要な荷物に比べれば、これはどうでもよい。忘れるはずがないからだ。 歯ブラシ・歯磨き粉・ひげそり細かいものであるが故に忘れがちだが、イザとなればコンビニでいくらでも買えるという安心感があるために、より一層忘れがちになる。経験上、もっとも忘れる率の高い一式だ。 本・雑誌パソコンが使えない、パソコンのバッテリーが切れた、パソコンが動かない、などのときに読む。今回はNewtonと経営予測エイジと土屋賢二を選んだ。科学とビジネスとエッセイと、バランスがいい。 新入生アンケート今回の帰省の主要行事である、富校の杜の恒例企画のためのアンケート用紙320枚。親がプリンタを東京に持って行ったため、東京から重たいものを持ってくることになってしまった。 ほかにもコマゴマとしたものはあるがこのように、わたしには持ち帰るものが多すぎる。さらに悪いことには、いくら念入りに確認しようにも、出発直前にそんな時間は残されていないのだ。 かつて一度だって、準備万端で帰省できた試しがあっただろうか。もっと早くこのエッセイを書いておけばよかった。 Copyright © 2003 Yokota Kounosuke (). All rights reserved. 表紙 | このサイトについてのご案内 |