新着情報

読者の声

声を書き込む

名前


操作

掲示板に移動する

メールを送る

| →メールフォームから

阪神優勝と「経済効果」

 阪神優勝です。経済効果です。

経済効果の数字の意味って?

 阪神優勝に限らず、大規模なお祭り騒ぎがあると、必ずニュースに顔を出すのが「経済効果」の四文字ですね。数百億円、何千億円という数字を見ると、なんだか日本の未来にも光が射してきそうな気にさせてくれます。

 しかし。実のところ、経済効果は非常に適当な数字なのです。さらに、世の中の多くの人は、そもそもこの数字を誤解してとらえています。経済効果とは、決して、空から降ってくるお金ではありません。


たまたまそれが、阪神がらみの消費だった

 たとえば、ある定食屋さんが特別メニューとして、優勝カツカレーを売り出したとしましょう。この場合、そのお店の売り上げ650円が経済効果になるのはもちろんですが、原材料であるカツの仕入れにかかった200円や、その豚を育てるためにかかったエサ代100円までをも含んだ、総額950円が計上されてしまうのです。

 また、阪神の試合のチケットも当然のように経済効果の一部となるのですが、そのチケットの印刷代にインク代、さらに印刷所で働く従業員の給料までもが経済効果になるのです。でもそれって、阪神が優勝してもしなくても、結局印刷されることには変わらないような…?それに、優勝カツカレーを注文したひとだって、特別メニューがなくても何かほかのものを食べるはず…。

 さて一方、巨人が優勝すればAデパートの売り上げが影響を受け、阪神が優勝すればBデパートの売り上げが影響を受ける。阪神ファンのCさんが応援グッズや記念品に大金を投じた分、テレビの買い換えは来年に延期する。これらはいずれも、あちらを立てればこちらが立たぬ関係です。


阪神優勝の効果は…えーと、ここまで!

 このように、阪神優勝を例にとるなら、「経済活動全体のうち、阪神優勝の影響を受ける規模」が経済効果だといえます。ここで大切なのは、「経済活動全体」そのものはほとんど変わらないということです。

 もちろん、一時的な消費拡大効果はあるでしょう。もともと貯蓄に回っていたお金が阪神優勝のおかげで市中に出回るようになれば、それこそが経済の原動力です。ですから、経済効果そのものに反対するつもりは全くありませんし、むしろその効果に期待したいと思います。

 しかし、経済効果の数字そのものにはまるで実質的な意味がないことと、その数字がそのままGDPなどの経済規模に上乗せされるわけではなく、むしろGDPの内訳を示したものにすぎないのだということは、認識しておくといいでしょう。実際、経済効果の数値が発表元(経済産業省とか、○○総研とか、××銀行とか)によって違うのは、「カツカレーの豚のエサ代まで含めるか、養豚場で働くおじさんの給料まで含めるか」といった、算出する担当者の裁量で決まる部分が大きいのです。


とにかく優勝おめでとう

 テレビに出てくる経済学者は、本当はその辺のことをちゃんとわかっています。しかし、せっかく「景気よく誤解」してくれている視聴者を、わざわざ我に返すようなことはしたくない、といったところなのでしょうネ。

 さて、わたしたちも、これからは彼ら経済学者と同じ視点に立ちましょう。「経済効果とは、あくまで景気付けのためにポーンと発表する数字である」と。

 阪神優勝で関西経済が盛り上がることを祈ってます。



関連リンク



Copyright © 2003 Yokota Kounosuke (). All rights reserved.
表紙 | このサイトについてのご案内