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音楽業界の不振とシングルCD

 音楽業界の不振について、微妙な消費者心理という、変わった視点から考えてみました。

アルバム好調、シングル不調
シングルCD

 音楽業界の衰退が叫ばれて久しいわけです。人気アーティストなら当たり前だった100万枚のミリオンヒットが、ぜんぜん生まれない。曰く、「CDが売れなくなったのは、パソコンによるコピーのせいだ」とか、「音楽業界の怠慢が原因だ」とか、色々いわれています。

 しかし、その一方で、アルバムの売上は好調だといいます。おかげで、「ベスト盤」と呼ばれる過去のヒット集が氾濫していますが、これはまるで音楽業界全体が、これまで築いてきた資産を総動員して「収穫」を図っているようで、業界の末期症状とも見てとれてしまいます。

 アルバムが売れているということは、すなわちシングルCDが売れていないわけで。どうしてシングルだけが売れなくなってしまったのでしょうか?


シングルCDの価格設定に問題が?

 シングルCDの売上不振の理由のひとつに、あまり大きく取りあげられることは少ないのですが、シングルCDの価格設定の問題が挙げられています。通常、アルバムは10曲程度が入って3000円、シングルは2曲入って1000円、というのが一般的な相場で、そもそもシングルCDはお買い得とはいいがたいものでした。

 しかし、シングルが1000円になったのは最近のことではありません。消費者の目は突然厳しくなったのでしょうか。


シングル売上不振と重なるマキシシングルの登場

 実は、シングルCDの売上不振と、うまく重なる音楽業界の変化があります。シングルCDの「マキシシングル化」です。マキシシングルとは一般に、直径8cmの通常のシングルCDに対して、直径12cmのアルバムと同じサイズのシングルCDを指します。

 シングルCDが売れなくなる直前あたりから、新曲の発売はマキシシングルでなされるようになりました。これには、製造コスト上の理由、店頭ディスプレイ上の理由、再生装置の理由など色々あるのでしょうが、消費者心理に意外な影響を与えている可能性もあります。

 というのも、これまで8cmと12cmという物理的な違いのおかげで「あくまでシングル」であった消費者にとってのシングルCDが、アルバムCDの直接の比較対象になってしまったのです。「小さなCDに2曲だけ入れて1000円」だったシングルCDは、「2曲しか入ってないのに1000円」ととらえられるようになってしまいました。

 逆に言えば、シングルCDとアルバムCDの価格差について深く考えさせることのないように、シングルCDはシングルCDとして、大きさ、パッケージ、歌詞カードといった「アルバムCDとの違い」を明確にしておく必要があったのです。


問われる音楽業界のあり方

 何度も書いたように、音楽業界の不振には多くの理由があり、議論されています。ここに書いた「マキシシングル化による消費者心理の変化」は、そんな議論にはなかなか登場しないかもしれませんが、不振理由のひとつとして、少しだけですが、影響を与えている気がします。

 原因がどうであれ、これまでの音楽業界のあり方が問われているのは間違いありません。


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