仮にいまごろコンパクトデジカメの主流が200万画素程度で、ISO 200 くらいの感度でキレイな画質を得られる時代になっていたら、そりゃあ写真の「ウデ」が上がるわけじゃないけど、シロートによる「失敗写真」の数はいまより劇的に少なかったはずです。被写体ブレがないだけ、「あゆ」よりよっぽどブレませんし、ざらつきノイズも少ない。
画素なんか上げるより感度を上げた方が画質に貢献するのはわかってる、でも他社より画素が多くないと売れない。まぁそんな一般論は玄人の間じゃとっくに言い古されているのです。
で。デジカメ業界にのしかかるこの大いなるジレンマを打開するには、画質のブランド化が必要なんです。それは、「DIGIC」のような付けたモン勝ちのものでも、「カリスマ画質」のような言っちゃったモン勝ちのものでもダメで、「ハイビジョン」や「ドルビーサラウンド」のような明確な定義を持ったブランドでなければなりません。
かつて、エプソンのプリンタ「カラリオ」は、実にうまく「dpi競争」を避けてキヤノンを振り切りました。当時のキヤノンが画質のよりどころのひとつにしていたdpi競争の土俵に、エプソンは決して乗ってきませんでした。その間、ずっと新しい「何か」を求め続けていたエプソンは、極小インク滴、7色インク、フチなし印刷と新機軸を打ち出し、ついに「つよインク」で差別化戦略を完成させたといっても過言ではないでしょう。
同じことが、プリンタよりはるかに市場プレイヤーの多いデジカメでできないはずがありません。若い女性が画素の時代を引っ張っているのなら、まずはテレビCMで「画素なんて、もうイラナイ」ってあゆに言わせることから始めたらどうですか。