公開メモ日記

[ 2008年4月20日(日) 3:30 ]
 中央新幹線をきっかけに考える「国土の均衡ある発展」

 公開メモ日記 - リニア新線、アルプス貫くトンネル構想 自治体「困る」でバリバリ経済合理性主義な意見を書いたわたしですが、そう言いながら実は日本全体論もけっこう好きで、「国土の均衡ある発展」に代表されるような、市場原理に乗らない価値があるのではないかとも思っています。

 たとえば、仮に、高度成長期の時代に「正しい将来需要」が予測できたとして、収益性のみに基づいた国土開発がなされていたら、果たしていまの日本はより健全な国家になっていただろうか…と考えてみます。すると、たとえば北海道や東北は悲惨な状態になっているのに対して、そのぶんは東京などの大都市に、さらなる一極集中という形で還元されているかもしれません。大阪にも還元されているとしたら、大阪は赤字体質になっていない可能性もあります。はたまた、日本の国債残高がいまより少なくて済んでいたというパターンも。じゃあ、それがいまと比べて、よりよい日本なのかとなると、これはなかなか難しい問題だと思います。

 結局、インフラとは、公共財なのです。あたりまえですね。とすれば、収益性の見込めない部分は国家が建設すべき。もちろん、獣しか通らないところに高速道路を通しても意味はないので、「国家として必要かどうか」の吟味をする必要はあるし、十分慎重に検討しなければならないとは思いますが、少なくとも「経済的な損益分岐点」はその閾値として使うべきではないと。

 経営効率の観点からは、上下分離で運営だけ民間に委託する方法はあるかもしれませんが、社会福祉や教育と同じだと考えれば、それ単体で収益が上がらなくても、なんの疑問も持ち得ません。民間の保険会社や塾でも利益が出る部分だけ、民間にやってもらえばよい。そんな民間でもできてしまった例が、中央新幹線なわけです。

 そういう意味で、今回のJR東海の事業は、国からの支援を受けず、全部自己資金でやろうとしているわけなので、そこはやっぱり、さすがに、100%市場原理に乗っ取らせてあげないと、それこそ赤字の責任は誰が取るのだ、という話になると思うのです。逆に、諏訪を経由させたかったら、そこは公共財になるんだから国が金を出しなさいと。建設費だけじゃなく、迂回による経営損失の補填も含めてです。

 ちなみに、経済合理的にJR東海に無視されるとわかっていても「諏訪市は迂回を訴えるべきだ」と書いたのは、市場に情報の完全性をもたらすためです。すなわち、ちゃんと両方の選択肢を天秤に載せるためには、迂回ルートを通った場合のメリットを、当事者たる諏訪市が提供するのが最適だし、そうするべきだということです。そして今回の考察をふまえれば、経済合理的にはアルプスぶち抜きルートに比べて劣るでしょうが、国を相手に「国家としての必要性」を訴える(国に金を出させる)場合には、経済合理性を土俵にするよりもいい勝負をする可能性はあります。まあ、それでも個人的には迂回は厳しいとは思いますけど。

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