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タクシー会社はなぜ「お客さま登録」で競争を勝ち抜かないのか

 規制緩和にあえぐタクシー会社の稼働率を高める、「お客さま登録」を活用したビジネスモデルの提案。

客待ち車両すべてがカイゼンの余地だと思え

 タクシー業界の貧窮が叫ばれて久しいわけですけど、ここはゼッタイ大きな改革の余地があると思うのです。この業界をビジネスの目で見たとき、メスを入れるべきは「稼働率」に尽きると言っても過言ではないでしょう。ぐだぐだと客待ちをしている車両すべてがカイゼンの余地です。こんなにわかりやすい話はありません。むしろ、こんなにわかりやすいのにいまだに業界が苦しんでいるのは、わたしの知らないよほどの障壁があるのかと勘ぐってしまいます(その障壁のほとんどは「規制」やその逆の「規制緩和」かもしれません)。

 というわけで以下、わたしのビジネスモデルを架空のタクシー会社X社として紹介します。


「電話一本での呼び出し」と「ポイント還元制度」がキモ

 さて、X社のタクシーも、他社と同じように、ふつうに街道を走っており、路上で顧客をつかまえます。まず、初めてX社を利用する顧客には「お客さま登録」をおすすめします。登録するメリットは、「電話一本での呼び出し」と「ポイント還元制度」のふたつ。

 「電話一本での呼び出し」は、携帯電話番号と、よく利用する迎車場所を登録してもらう点がミソになります。呼び出しするときに携帯電話からかけてもらうことで、オペレーターは番号通知を認識していきなり「○○さま、ご利用ありがとうございます。今回のお迎えは△△でよろしいでしょうか」と応えることができるのです。常に持ち歩くケータイと、一発でマッチする顧客情報。これほどの利便性はないでしょう。

 「ポイント還元制度」は、サラリーマン顧客の囲い込みが主たる目的です。通常、サラリーマンがタクシーを利用するときは、どうせ勤めている企業にあとで料金を請求できてしまうため、タクシー料金にはほとんど無頓着です。せいぜい、乗り心地のいい車を探す程度の選好性しか持ちません。しかし、タクシーに乗るたびに、登録者個人に対して10%のポイント還元が付いたらどうでしょうか。業務利用でポイントを貯めてから、私用でタクシーを使うときにそれを使うことができるのです。これは圧倒的な選好理由になるでしょう。


迎車料金をとらず、しかもスムーズな配車

 また、市場を大都市に限定するかもしれませんが、迎車料金は取りません。各地を走り回るX社の全タクシーの位置情報を中央のオペレーターが把握し、タクシー各車両にはiモード端末などを利用した連絡システムを用意しておけば、きっと比較的近距離からスムーズな配車ができるはずです。バイク便が実現していることを、タクシーでやれないわけがありません

 ところで、この配車システムをX社と顧客の双方にとってよりわかりやすくするために、宅配ピザのように「お電話から30分以内にお迎えに上がります」といった前提を掲げておくことも有効です。通常のタクシーの利用形態からいって、たとえ迎車までに多少の時間がかかるとしても、それを見越して事前に電話することは、利用者にとってそれほど大きな負担にはならないでしょう。もちろん路上に出れば他社のタクシーでもすぐに捕まるかもしれませんが、X社のポイント制度は利用者の動機を十分に支えてくれるはずです。もちろん、配車される車両の位置状況によって、特に都心部などであれば10分程度でお迎えできることもあるでしょう。

 なお、各車両に用意される(iモードなどを使った)配車連絡システムは、もちろんお客様の登録情報やポイントシステムなどとも連動します。迎車であれば乗車時にはすでにドライバーはお客様を把握できていますし、道で拾った場合も携帯電話番号だけでお客様確認が可能です。


価格競争を泥沼化させるな

 既存のタクシー会社の中にも、格安料金だの贅沢サービスなどでマスコミの注目を集める企業はあります。しかし、料金が安くたって、サービスが贅沢だって、街道で見つからなければそもそも利用することができません。迎えに来させたって、迎車料金がかかるようではまったく意味がないのです。

 X社は決して「格安タクシー」を標榜する会社ではありません。実際、ディスカウントしているのはポイント還元の10%だけです。それ以外はまったくの通常料金でも、十分に競争力を持つのです。

 しかしこのビジネスモデルが軌道に乗った上で、稼働率が上がれば、そのぶん料金をさらに下げることもできるでしょう。そうすれば、ますますX社の優位性が高まります。現在のタクシーの全国平均稼働率は、38%だといいます。夢が広がりますね。


すべては稼働率の最大化のために

 電話一本でのカンタン呼び出しとポイント還元システムで、お客様の選好性を十分に高めた上だからこそ、車両の位置情報と連動した中央管理による配車システムで、最重要課題である稼働率を最大限に高めることができるのです。そしてこのしくみがあってこそ、規模の優位性を十分に活かすことができるようになり、タクシー会社の再編がより「経済的に」進むことでしょう。

 規制を悪者にしているだけでは、業界に人材なしと見られても仕方ありませんよ。


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