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降水確率と降水量のホントのところ

 わたしたちは、どんなときに傘を持って出かけるべきなのでしょうか。みなさん、降水確率ってなんのことか、本当に知っていますか?

1mmからの小数切り捨て降水量

 基本的には「きょうとほぼ同じ気象条件が過去に100回あったけど、そのうち50回は翌日に1時間あたり1mm以上の雨が降ったぞ」というときに、「明日の降水確率は50%」と発表します。

 しかしこの「1mm以上」というのがクセモノで、1mm未満の雨が降っても降水とはみなされません。特に問題なのが、1mm未満の雨は0.9mmでも切り捨てで0mmと記録されてしまうことです。さらに、気象庁は1mmの雨を「傘をささなくても大丈夫な程度」と発表していますが、わたしの経験的には正確な表現ではありません。

 実際に1mmの雨が降ったら、傘を持っているひとは、まず傘をさします。そのくらいのしっかりした雨です。感覚的には1mmの雨は「傘を持っていないひとが、ささなくてもなんとかがまんできる程度」と思えばいいでしょう。なお、1.9mm(1.0mmのほぼ2倍!)の雨でも切り捨てで1mmと発表していることもまた問題です。


「降水確率」のホントの確率

 さて、天気予報で「1mm以上の降水確率は0%」と発表された場合でも、実際には1mm未満の内訳に注目することで、次のような複数の可能性が考えられます。

    図1-1
  1. 雨はまったく降らない。(100%の確率で降水量は0.0mm)

  2. 図1-2
  3. 1mm以上の雨は降らないけど、0.2mmとか、0.4mm程度の雨は降るかもしれない。(0.0mmの確率は55%)

  4. 図1-3
  5. 1mmを超えることはないだろうけど、0.6mmくらいのぱらつき雨はきっと降る。

 晴れの日であれば1.の場合がほとんどでしょうけど、雨の日に挟まれた曇りの日などは、「降水確率0%」の実態が2.や3.である可能性もあるかもしれませんね。

 また、降水確率は一般的に「1時間あたり」の降水についての確率なので、たとえば30分だけ1.8mmのしっかりした雨が降るときも、残りの30分が0.0mmなら、全体としては平均されて0.9mmの雨ということになります。

 さらに、降水確率は10%区切りになっていますが、これは1のケタを四捨五入した数字なのです。つまり、降水確率が本当に0%のときはもちろんですが、しっかり4%あるときでも、降水確率は同じく0%と発表していることになります。

 では、「降水確率50%」の場合は、どんな確率分布が考えられるでしょうか。話を簡単にするために、分布の「山」がふたつ以上になることは考えなければ、以下の3つ程度に場合分けできるでしょう。 図2-1 図2-2 図2-3

 上記いずれの場合も、雨がまったくふらない(0.0mm)ことはあまり期待できなさそうです。

 ところで、気象予測精度の向上は、このような降水確率の分布において、分布の山が尖鋭になることを意味します。上記の図でいうと、3番目のような形に近づいていくわけです。ますます、「降水確率50%」のときに雨が降らないなんて期待できなくなりますね。

 もっとも、将来さらに予測制度が進歩して、山の形がずっと鋭くなれば、山の頂上が1mmを境にしてどちら側にあるかによって、降水確率は0%か100%のどちらかしかなくなってしまうかもしれません。しかしそうなったときは、「降水確率」ではなくて、何mmの雨が降るのかを「降水量予報」として発表するようになるかもしれませんね。


生活者にとっての降水確率を
傘

 さて、ちょっと難しい話になってしまいましたが、つまりは、わたしたちが気にする情報、たとえば、

 「きょうは傘を持っていくべきか?」

 「きょうは洗濯物を干しても大丈夫か?」

 といった判断において、1mmというかなり大きめの基準に即した「降水確率」という指標は、必ずしもアテにできないということがわかります(もともとアテにしていないかもしれませんが)。

 わたしたちの多くが本当に気にしているのは、「1mm以上降るのかどうか」ではなく、純粋に「降るのかどうか」ということですよね。せめて、いまの「1mm以上」という基準を0.1mmにして、ぱらつき雨や霧雨も見逃さない降水確率を発表してほしいものです。

 ちなみに、降水量を計っているのは、専門器具とはいえ単なる升状の計りですから、技術的にはいとも簡単に0.1mm単位の雨を計測できます。その記録をいまからでも取り始めれば、何年か後には、技術の進歩や、蓄積された0.1mm単位の記録から、0.1mm単位の予測ができるようになるのではないでしょうか。



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