試験問題に使われることは名誉ですらあり、多少なりとも名声を広めることにもつながるはずです。現実問題として、赤本や学校・塾の教材から著作権者への実害が出ることは考えられず、これはあくまで「取れるところからカネを取ろう」という JASRAC 的考えに基づく、まことに浅ましい訴訟だというのがわたしの印象です。
著作権の啓蒙ならば、「許可を得るべきだ、そうすれば喜んで応じよう」という主張をすればよいのです。もちろん、1000人や100人にひとりくらいは、ゼッタイ赤本には載せてくれるなと主張する変わり者がいたっていいと思います。しかしとりわけ、故人である偉大な作家の遺族らがこのような主張をするのは痛々しくもあります。彼らも天国ではきっと苦々しく思っているに違いない、と想像することができるのが、唯一の救いです。