ひとの「命」を守るか、国の「信」を守るか。2000年前の孔子は、もっとも大切なのは「信」だと説きました。しかし、今回問われている「信」とは、果たして本物でしょうか。
他にあらゆる手段があった中で、日本はアメリカのイラク攻撃を支持し、自衛隊を派遣してきました。しかしそういう手段を取らなかったフランスやドイツのことを、イラク国民は憎んでいるでしょうか。
人質を取られるようなことにならない国になればいいんです。本当にゼロにするのはとても難しいことかもしれないけれど、少なくともその可能性を減らすような選択肢はこれまで何度もありました。
そして、そんな国になるためには、いつか、テロリストの「味方」でないことはもちろんですが、「敵」でもない国になることを、決断しなくちゃいけない。その決断を本当はもっともっと早くにするべきだったし、いま迫られているのはとてもくやしいけれど、決断を下すのは、あさってより、次のテロが東京で起こった後より、いまのイラクの子供がテロリストになった後より、いまのほうが絶対にいいと信じています。
国際貢献の手段は、ひとつではないのです。ましてや、自衛隊派遣は決して唯一最善の手段ではないのです。